「省エネ基準適合義務化」延期のニュースについて考えてみました【ティージー株式会社】


先週、1月19日に掲載した「省エネ基準適合義務化」延期の続きを書きます。

(以下、長文になることをご了承ください)

結論から言うと・・
“省エネ基準に習熟していない中小工務店、設計事務所を守るため”(市場の混乱を防ぐため)の適合義務化延期の見通しであるとのことです。

ある業界団体は反対しています。


『事業者だけでなく、住宅取得者の意見を重視せよ』


「住宅の新築及び購入時の省エネ性能の検討の意向」では、94.5%が前向きであり、消費者保護の観点から予定通り義務化すべきだ、と。


「憲法25条違反だ」との議論も

「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」という条項に違反するのでは?

という少し飛躍した意見もあります。


一方、政府の見解は

「2016年度における住宅(小規模建築物含む)における省エネ基準への適合率は57~69%で、中規模建築物の91%と比較しておおきく下回っている」ということで、基準についていけない小規模事業者が多くいる。

さらに「新築件数について、住宅以外を含む全体の新築件数に対する住宅の新築件数が占める割合は84%と非常に多い」として、「所轄行政庁の審査が追い付かないのでは」
という問題も抱えている。


以上のことから、今回の省エネ基準適合義務制度の対象は「中規模建築物以上とすることが妥当」で、住宅などの小規模建築物を対象にした場合、市場の混乱を引き起こすことが懸念されるため、慎重に考える必要がある。


ただ、地球環境問題はもちろん、住環境を改善することにより居住者の健康維持や快適性の向上等に努める必要がることから「建築士からお施主に対して省エネ基準適合の可否等の説明を義務付ける制度を創設することが適当である」と共に、省エネ適判や完了検査に係る手続きの簡素化など「所轄行政庁の負担を軽減して業務の効率化を図る」ことも必要であると言っています。


【「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について」(第二次報告案)から一部抜粋】


政府は「2050年までに80%の温室効果ガス削減を目指す」といった長期的目標や、「2030年度におけるエネルギー消費量を2013年比で2割削減する」といった中期的目標の達成を見据え、“最終消費者のためになるように”を第一に考えた決定をするべきだと私は思います。


今後もこの問題には“業界人”として注目していきます!




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